3回生よりメッセージ

早稲田大学”踊り侍”の3回生が引退に向けた思いなどを綴った期間限定ブログです

テルマユ・ロマユ

 

踊り侍に初めて出会ったのは6年前、2012年(韋駄天の年)のにいがた総おどり祭だった。たくさんのチームの踊りを見る初めての機会だったけど、チアダンスを始めとする笑顔を振りまいて踊る他のチームと違って、踊り侍の何も隠さない、ありのままをさらけ出して踊る姿がこの上なくかっこよく見えた。MCがあるのも踊り侍の演舞が心に響いた大きな理由の1つだと思う。この時点で中学3年ながら早稲田に入ったら踊り侍に入ろうと決めていた。翌年のJOKERは見ることはできなかったけどその後からは毎年にいがたの踊り侍を見に行った。踊り侍の演舞は見る度に本当にパワーがもらえた。受験勉強の時によく聞いていた曲の歌詞を借りると、「君からもらった笑顔をいつか僕も誰かにあげれると信じて」受験勉強に打ち込んだ。

無事に早稲田に入り、踊り侍の練習を見学したとき最初に思ったのは、ここは「真面目くん」も受け入れてくれる場所だ、という安心感だった。役職とか回生とか関係なく発言していてみんなで練習を作っているのが伝わってきた。中学でも高校でもいわゆる真面目くんで、みんなが思っていても言えないことをはっきり言ってきたし、読むメリットのない空気なんかぶっ壊してやるってスタンスで生きてきた。中学でも高校でも周りに受け入れられるまで2年くらい要してきたけど、ここでもとことん真面目くんを貫いてやるって思って今までやってきた。ここでは自分を隠したくなかったし自分らしくいても受け入れてくれると思ってたから、同期にどう言われようと「これをしたら自分じゃない」っていう最低ラインは守ってきた。その点で空気が読めないとかノリが悪いとか思われていたとは思うけど、そう思われるより自分が自分でなくなることの方が嫌だった。

 

最初のうちは踊り侍の全てが好きだった。みんなが全力で練習に向き合っている姿を見て自分も感化されていた。1回生のソーランでステージで踊る楽しさを知ってからそれは加速した。どんなに気が乗らない時でも練習に行けば元気がもらえる魔法の空間だった。だから1回生のふくろ祭りに落とされたとき先輩をすごく恨んだ。みんなと踊れないのが悔しかったのもあるが、個人的な点で「なんで俺が踊れなくてあいつが踊れるんだよ」「南中を教えても途中で投げ出して平気でステージに立つようなやつがなんで踊れるんだよ」って思う同期がいた。他のみんなはどうあれ、そいつが踊れるってことだけはどうしても許せなかった。みんなが条件練に向かった後1人で学館に残って泣きそうになりながら踊ったりした。そんなとき代表のパクトさんから嫌じゃなかったら見学に来ないかって言われて、練習に行きたいという気持ちはあったから行った。あれだけ悔しくても恨んでてもやっぱり踊り侍という空間は好きだった。

 

しかしこんな自分にもモチベーションがゼロになる時期があって、それが2回生のふくろ祭りだった。1回生のときに落とされてふくろ祭りにいいイメージが無かったのも理由の1つかもしれない。その時は、秋祭りは純粋に楽しめたけど、たくさん考えて侍に全力で向き合うふくろ祭りには出たくなかった。条件練も見に行く気になれず、一回も見に行かなかった。でもふくろ祭りが近づくとTwitterを通して侍のみんなの本気が伝わってきて、自分だけ置いていかれている気持ちになって苦しかった。練習に行けばやる気は後からでも出てくると思っていながらもふくろ祭りに応募しなかったのを後悔した。当日だけ演舞を見に行ったけど、参加しなかった後悔だけが残った。

 

そんなこんなで3回生のふくろ祭りが自分にとって初めてのふくろ祭りだった。ふくろ祭り当日のことはあまり覚えてないけど、夜の駅前メインでこれまでにない感情の昂りを感じたことは覚えている。ステージでPOWERを踊れるのはこれが最後かもしれない、この人と同じステージで踊るのもこれが最後かもしれない、この中に二度と一緒に踊れない人がいる、この人と目を合わせて踊るのは多分これが最後なんだろうな、って思うと涙が出てきた。踊り侍ってこんなに幸せな空間だったんだって、こんなに感情が抑えられないことってあるんだって、それを引き出してくれるPOWERという演舞のすごさに、今更ながら気付かされた祭りだった。

あと少しで踊り侍を引退する。体育館で、学館で、夢の中で毎日会っていたみんなと会えなくなる。今までの当たり前が当たり前じゃなくなる。大学生活の最大を占めている踊り侍の予定が、早稲田祭を終えたらなくなってしまう。考えてみたら履修も踊り侍を第1に考えて組んでるし、踊り侍のためにバイトを始めたし、そのバイトも踊り侍があるからあまり入れないし、学科を決めたのも踊り侍の練習と必修科目が被ってなかったからだし、(そんな適当に決めていいのかって一瞬思ったけど、いや、いいし。って即答するくらい踊り侍が好きだったし、)最初にも言ったけど大学を決めたのも踊り侍に入りたかったからだし、踊り侍は大学生活の全てだった。こんなに好きになれる仲間に出会えたことに感謝したくてもしきれない。ありがとう。


最後に、侍のみんなへ

今を大切にしてほしい。ぼっとしてたら終わりは来る。気づいたら同期が侍に来なくなるかもしれない。気づいたら後輩が留学に行ってしまうかもしれない。明日学館が使えなくなるかもしれない。急に忙しくなって踊れなくなるかもしれない。
明日も今日と同じとは限らない。
“今”が“今”であるうちに動き出してほしい。